米田優人、加藤あず佐
通っていた大阪府立高校で茶髪を黒く染めるよう何度も指導されたとして、慰謝料などの支払いを府に求めた府立懐風館(かいふうかん)高校(羽曳野市)の元女子生徒(22)の訴えについて、大阪高裁(本多久美子裁判長)は28日、染色を禁じた校則や学校側の頭髪指導は「教育現場の裁量の範囲内」として、適法と判断した。
判決後、生徒側の代理人弁護士は「教育現場の裁量は本来、生徒の利益のために使われるべきで、学校側が免責されるための理屈ではないはず。裁量は大きい壁で、残念な判決だ」と憤った。
判決は、教育現場には指導のあり方を常に検証し、よりよい指導を目指す努力が求められる、とも指摘した。代理人弁護士は「一人ひとりの先生が『子どもたちはそれぞれ多様で違う』という前提で子どもと向き合ってほしい」と訴えた。
一方、懐風館高校の校長は記者会見で「生徒、保護者との共通理解ができていなかったことを重く受け止めている」と述べた。校則指導については「丁寧にルールを説明し、生徒支援につなげたい。社会情勢や生徒の実態に合わせて柔軟に考えていく」と語った。
府教育委員会は、提訴後の2017年12月に府立高校に校則の点検を指示。その後も、毎年点検をするよう各校に促している。高等学校課の担当者は「見直しはされたと認識しているが、時代の進展に応じて点検を行うよう、継続して指示していく」と話した。(米田優人、加藤あず佐)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル