本間久志
国が生活保護の基準額を2013~15年に引き下げたのは厚生労働相の裁量を逸脱し、生存権を保障した憲法25条に違反するとして、静岡県の受給者6人が浜松市などを相手取り、減額決定の取り消しを求めた訴訟の判決が30日、静岡地裁であった。菊池絵理裁判長は減額決定を取り消した。
原告弁護団によると、同種訴訟は全国29地裁で起こされ、地裁判決は21件目。うち減額決定を取り消したのは11件、請求を棄却したのは10件になった。
基準額の見直しは5年に一度ある。国は13~15年、生活保護費のうち、食費など生活費にあたる「生活扶助」の基準額を、物価下落などを理由に段階的に引き下げた。3年間で平均6・5%、最大で10%、総額670億円を削減した。
原告側は、引き下げについて「専門的知見に基づく適切な分析を怠った」「統計などの客観的数値との合理性を欠く」とし、裁量権の逸脱にあたると訴えた。一方、被告側は、厚労相には政策的な見地から幅広い裁量権が認められており、物価下落率の算定方法も合理的だとし、請求を退けるよう求めていた。(本間久志)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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