生活保護減額訴訟、10件目の棄却 大津地裁「裁量権の逸脱ない」

鈴木洋和

 国が生活保護基準額を2013~15年に大幅に引き下げたのは厚生労働相の裁量権を逸脱し、生存権を保障した憲法25条に違反するとして、大津市の30~80代の受給者9人が、市に減額の取り消しを求めた訴訟の判決が13日、大津地裁であった。堀部亮一裁判長(池田聡介裁判長代読)は「裁量権の逸脱や乱用があったとはいえない」として、原告側の請求を棄却した。

 国は13~15年、08年以降の物価の下落傾向が反映されていなかったとして、生活保護費のうち食費や光熱費など日常の生活費にあたる「生活扶助」の基準額を最大で10%引き下げた。

 判決は、08年以降、デフレ状況が続いていたものの生活扶助の基準は見直されず、生活保護受給世帯の可処分所得が実質的に増えていたと指摘。物価動向を踏まえたデフレ調整などにより、減額された世帯への影響は大きかったとみられるが、引き下げの必要性や算定方法をめぐる判断には合理性があり、違法とは認められないと判断した。

 同種訴訟は全国29地裁で起こされ、地裁判決は19件目。うち9件は減額決定を取り消し、10件は原告側の請求を棄却しており、判断が分かれている。(鈴木洋和)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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