【動画】生理って「隠す?」「隠さない?」 海外では=半田尚子撮影
生理が題材の漫画が人気を呼んだり、生理用品を取り扱う売り場が老舗百貨店に誕生したり。日本で生理についてオープンに考えようという動きが生まれる中、日本で暮らす外国人たちは生理とどう向き合っているのか。「#ニュース4U」取材班が、各国の「生理観」と合わせて聞いてみた。
11月22日、大丸梅田店(大阪市北区)内に「michi kake(ミチ カケ)」という名前の売り場がオープンした。コンセプトは「月の満ち欠けのように、女性のリズムに寄り添う」。
サニタリーショーツ、ナプキン、月経カップ……。5階の「ヤングレディスファッション」のフロア中央に設けた広さ約893平方メートルの売り場では、女性の性や生理にまつわる商品を取り扱う。「今までタブー視されてきた分野の商品を、品質管理の行き届いた百貨店からお届けすることで、少しでも女性のみなさんに快適に過ごしてもらいたい」と担当者は言う。
ハイヒール・モモコさん「大丸で生理の話?」
オープン前日の11月21日にはトークイベントが開かれ、タレントのハイヒール・モモコさん(55)らが登壇。「生理とはどんな存在ですか?」「生理や体の悩みを話しますか?」といった話題で約20分にわたり、意見を言い合った。
仕事の依頼があった時、「えっ!大丸で生理の話?」と思ったというモモコさん。イベント後、報道陣に「恥ずかしいから隠したいという人は隠してもいいと思う。色んなことを選べる中で『私、生理だからしんどいねん』と言える環境になってきたことはいいこと」と話した。
売り場は、二階堂ふみさん主演で映画化された小山健さんの漫画「生理ちゃん」ともコラボ。映画の試写会を行ったほか、売り場では12月3日まで原画が展示されている。
オープンに合わせ、売り場と同じフロアで働く女性従業員同士が自らの生理をバッジで意思表示する「生理バッジ」を試験的に導入した。強制ではなく、従業員が働きやすい環境づくりにつなげる狙いだったが、SNS上などで批判が続出。バッジの着用はとりやめたが、担当者は「(生理を)意思表示する取り組みは別の形で続ける」としている。
NZの女性「女性か無人のレジを使う」
日本社会で変化の兆しが見える「生理観」。日本で暮らす外国人はどのように向き合っているのか。実際に会って取材してみた。
ニュージーランド出身の女性(23)は「トイレ回りのことはプライベートなこと。生理だと周囲に絶対明かさない」と話す。コンビニなどでレジの店員が男性の場合は「恥ずかしいので女性がいるレジに並ぶか、無人レジを使う」という。
来日当初に衝撃を受け、今ではその存在に感謝しているのが、トイレの擬音装置だという。「生理用品の開封音の音消しに最適。毎回欠かさず使っています」
モンゴルから来日した女性(38)は遊牧民出身で、幼い頃は馬、牛、羊、ヤギと暮らしていた。動物たちの生理や出産を目の当たりにし、人間の生理も「生き物として当然のこと」と考えるようになったという。
大家族で伝統住居「ゲル」で暮らし、家族の会話で自然と生理のことも話題にのぼっていた。だから来日後に店で生理用品を買った時、中身の見えない袋に入れてくれたことに驚いたという。「なぜここまで包装するのか戸惑いました」
逆に、ネパール出身で仏教徒の女性(43)は手厚い包装に感謝しているという。「丁寧に包んでくれ、女性のことを考えてくれているんだなと感じた」。生理中に台所に立ったり、料理を運んだりすることも禁じられているといい、「人前では生理について話さない。こんな取材を受けていることも恥ずかしい」。
ケニア「あの包装、日本と違う」
中身が見えない包装という点は同じだが、日本とは違うもので包む国もある。
ケニア出身で大阪の大学に留学している女性(31)は「ケニアでは店で生理用品を買うと、新聞紙で包んでくれる」と話す。「日本は(生理が)軽い日用から重たい日用まで生理用品の種類が豊富。生理に対してタブーがあるようには感じなかった」
日系ブラジル人の女性(39)によると、ブラジルでは「共学のクラスの授業中に『生理痛でおなかが痛いので休みます』と平気で言える雰囲気だった」という。幼いうちから体の仕組みについての家庭教育も盛んだといい、「生理を含めた性の知識を早くから教える家庭が多い。だから生理も全然隠しません」。
インド人のナズリーン・スナーズさん(36)はイスラム教徒。生理中は聖典コーランに触れてはいけないし、祈りを捧げてもいけないと母親に教えられて育った。幼い頃、姉から「(生理について)人前で言ってはいけない」と注意されたこともあったという。
ただ、最近、めいに生理が来た時、親戚の女性たちが「心配しなくていい。おめでとう」と電話したり、インドで「生理痛に効く」とされるチョコレートを贈ったりしていたのを見た。
「インドでも生理を取り巻く環境が変わっている。これからもっと変わっていくはずだと思います」
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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