村上友里
東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、17~27歳の男女6人が東電に計6億1600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こす。27日に提訴する予定。原告側弁護団によると、住民が甲状腺がん発症による事故被害を東電に訴えるのは初めてという。
原告は2011年の原発事故時に6~16歳で、福島県内に住んでいた。県の調査などで甲状腺がんと診断され、2人は甲状腺の片側を切除、4人は再発によって全摘したという。
弁護団は19日に会見し、原告は遺伝性のがんではないと主張。がん発症で進学を諦めた原告もいて、「東電は事故との因果関係を認め、補償制度をつくるべきだ」と訴えた。子どもの甲状腺がんが事故後に県内で多発しているとも指摘した。
東電は提訴について「誠実に対応する」とコメントした。
県の調査によると、事故当時18歳以下だった県民38万人のうち、約260人が甲状腺がんかその疑いがあると診断された。ただ、県の専門委員会は15年に公表した中間報告で、事故による被曝(ひばく)とがんとの因果関係は「現時点で認められない」としている。(村上友里)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル