男女平等、家制度と経済合理性が壁に 「前進」は本当?

日本国憲法は、「男女平等」を完全に保障した条文をもつ。しかし、新型コロナウイルス禍のもと、制度や社会におけるジェンダー格差が改めて浮き彫りになっている。施行から74年経った今なお、憲法がめざす理念に日本社会が近づけていないのはなぜなのか。

 「憲法は男女平等への希望を与えてくれる存在。多くの人が憲法を支えにして差別と闘ってきた」

 そう語るのは、女性であることを理由に昇進や昇給で差別を受けたとして、1995年に勤務先の住友電気工業と国を訴えた西村かつみさん(73)だ。明白な差別は減ったように見える現在に至るまでには、一歩ずつ権利を勝ち取ってきた闘いがあった。

【特集】Think Gender ジェンダーを考える

男女格差が156カ国中120位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。一緒に考えませんか。

 西村さんが提訴した当時、同じ学歴でも昇格に向けた試験を受ける機会がある男性社員と、そうでない女性社員とでは月給で最大約25万円の開きがあった。

 2000年7月の一審判決は「性別による差別を禁じた憲法14条の趣旨に反する」と認めながら、「採用された昭和40(1965)年代の時点では公序良俗違反ではなかった」と訴えを退けた。西村さんは判決を聞きながら「憲法に反していると言いながら訴えを認めないなんて憲法が生かされていない」と憤った。

 1カ月後、判決に抗議しようと約330人の男女が手をつなぎ、「人間の鎖」で大阪地裁を取り囲んだ。そして03年12月、大阪高裁で和解が成立。訴訟で求めていなかった昇格にまで踏み込んだ内容だった。

 一審判決を覆す形になった高…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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