男性が「基準」だった製品開発や研究 不利益なくすための考え方とは

 「ジェンダード・イノベーション」という言葉を、最近目にする。「性差」を指すジェンダーと、「技術革新」を意味するイノベーション。どんな考え方なのか。お茶の水女子大にあるジェンダード・イノベーション研究所の佐々木成江特任教授に聞いた。

 ――「ジェンダード・イノベーション(GI)」とはどういう考え方ですか。

 「ジェンダードは『性差に基づいた』で、イノベーションは『技術革新や新しい価値の創造』という意味です。科学技術分野の研究や開発において、男女の分析(性差分析)を加えることでイノベーションを生み出す、という考え方です」

 「科学史におけるジェンダー研究の権威、米国スタンフォード大学のロンダ・シービンガー教授が、2005年に考え出した比較的新しい概念と言えます」

 ――いま「ジェンダー」という言葉は多くの場合、社会的、文化的に形成されてきた「性差」を意味します。

 「『ジェンダー平等社会』というときのジェンダーは、文化的社会的につくられ、差別や偏見、固定的な役割分担意識などを生んできたものですから、それをなくして男女平等にしていこうとする考え方です。人間の半分は女性ですが、日本では、例えば閣僚名簿を見ても、企業の経営陣を見ても、女性は5割には遠い、社会的にはマイノリティーな存在で、世界的な比較からもジェンダー格差が大きいままです」

 「1990年代以降、ジェンダー平等のために、政策や法律などの分野ではジェンダーの視点を入れる活動が盛んになっています。『ジェンダー主流化』と呼ばれていますが、GIは科学技術分野でのジェンダー主流化を目指したものです」

 ――「GI」の「ジェンダー」も、社会的な性差という理解でいいですか。

見過ごされてきた女性

 「いいえ、生物学的な性差で…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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