パワーワードを使う理由
<イベントでは、今秋「男性の育休 家族・企業・経済はこう変わる」(PHP新書)を刊行した小室さん・天野さんと、「妻に言えない夫の本音 仕事と子育てをめぐる葛藤の正体」(朝日新書)を刊行した父親のモヤモヤ企画班の高橋健次郎記者が、男性の育休取得について語り合いました。「義務化」という言葉について話題になったきっかけは、参加者からの質問でした。> 高橋健次郎記者(以下高橋記者):みなさんからいただいたご質問をご紹介します。「『義務化』という言葉が、企業から促す義務ではなく、個人が否応なくとらなきゃいけないと誤解されていることが多いと思います。反発もあると思うのですが、誤解しないように広まらないのはメディアのせいなのでしょうか?」。お二人、いかがですか? 小室淑恵さん(以下小室さん):ある意味、戦略的にも誤解をしていただくように発信をしました。「そんなのおかしい」「変な話題だよ」と誰かが反発をしない話題は、ほとんどメディアに扱ってもらえません。 議論にならない限り、「男性の育休」が注目されることはないだろうということで、「全ての人に義務づけられることを望んでいます」のように一度誤解していただいてもいいと考え、私たちはこの「育休義務化」というパワーワードを使いました。 もちろん、取る・取らないは本人の自由です。ただ、本人の権利が大きく侵害されている現状ですので、男性本人が申請するのではなくて、企業側に、社員へ育休を取る権利があると案内するシステムに変更するよう義務づけを促していきたいと思います。 メディアには、私たちは企業への義務化であることをきちんと説明をしているので、メディアも半分は分かっているけれども、議論を巻き起こすために、あえてタイトルを「男性育休義務化をどう思う?」として扱ってくれているのかなと思っています。 高橋記者:世間の反応をどう感じていらっしゃいますか? 天野妙さん(以下天野さん):「義務化」というと、男性たちが「俺のことか?!」「俺の部下のことか?」と、急に当事者性が出てくるんですよね。 実は、発信を始めた頃は「男性育休必須化」と言っていましたが、「弱気すぎる」と指摘を受けました。それであえてパワーワードを使っています。 高橋記者:作戦とは知らず、発見でした。参加者の方からは「確かに自分の興味も若干の疑問から事実を知ることができました。よい作戦だと思います」といただきました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース