町長、職員自殺の責任認める 苦情続き146時間残業 

 標津町職員の鈴木雄大さん(当時24)が昨年7月に自殺した問題で、町から調査依頼を受けた法律事務所(札幌市)が、長時間労働など過重な業務が自殺を引き起こしたとして、町に対して「安全配慮義務違反があった」とする報告書をまとめたことがわかった。町は法的責任を全面的に認め、遺族側に伝えた。

 昨年4月、人事異動で鈴木さんが所属する商工観光課の同僚がすべて入れ替わった。鈴木さんは教育旅行の受け入れ業務を新たに1人で担当したが、業務量は例年の3倍に上った。だが元上司の引き継ぎが不十分で、業務が滞り、旅行会社からの催促や苦情が続いた。亡くなる前の2カ月間は月平均146時間の時間外労働をしていた。

 町は法律事務所に依頼し、法律事務所は鈴木さんは精神的に追い詰められて自殺を図ったとする報告書を昨年12月にまとめた。だが町職員からの聴取が不十分とする指摘があり、町はあらためて別の法律事務所に再調査を依頼していた。

 再調査の報告書は「町は鈴木さんの長時間労働が続いている事実を把握しながら是正せず、滞った業務状況を適切に把握して必要なフォローも行っていない」として、町に安全配慮義務違反があると結論づけた。

 鈴木さんの母親、龍子さん(56)は「しっかり調査してくれた。だが町がなぜ、あんな無謀な人事をしたのかや元上司の責任がはっきりしない。公の場で説明や謝罪をしてほしい」と話している。金沢瑛町長は朝日新聞の取材に「大きな責任を感じている。今後については弁護士と協議したい」と答えた。(高田誠)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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