渡辺純子
畑で炎上する車に挟まれた人を助け出したとして、福岡県筑前町の3人に7日、甘木・朝倉消防本部から感謝状が贈られた。「双方にとって非常に危険な状況の中、協力して尊い人命を救った」とたたえられた。
感謝状が贈られたのは、いずれも同町四三嶋(しそじま)の中西徹さん(73)、上田晋也さん(35)、岡部雅裕さん(44)。
昨年11月3日午前11時50分ごろ、四三嶋の畑で作業をしていた男性(76)が、隣の畑の人が運転する軽トラックと接触。あぜと軽トラの間に両足を挟まれた。やがて軽トラの後部から火が出た。運転していた人は助けを求めに走った。
中西さんはたまたま車で外出しようとして火に気づき、駆けつけた。知り合いの男性が挟まれているのを見て、「車はいいから人を助けないと」と、男性の脇に手を入れて引っ張った。
ドーンと音がして後部から火柱が上がった。火が運転席に近づき、フロントガラスがバリバリと砕けた。音を聞いて近くの上田さんと岡部さんも駆けつけた。片足は抜けたが、もう片方が抜けない。火がじりじりと迫る中、男性の長靴が脱げてようやく抜けた。救急隊が到着した時、軽トラは運転席まで火に包まれていたという。
男性は足の骨折で入院したが、やけどはなかった。中西さんは「怖いとか熱いとか、その時は全然思わなかった。助かってよかった」、岡部さんは「無我夢中だった。救急車を見てホッとした」、上田さんは「とりあえず男性の命が助かってよかった」と話した。(渡辺純子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル