発生時刻のサイレンに耳塞ぐ遺族 「思い出しつらい」の声受け低音に

 3月11日午後2時46分、東日本大震災の被災地では、自治体が犠牲者を悼むためサイレンを鳴らす。宮城県石巻市は今年、その音をこれまでより低音に変える。「あの日を思い出してつらい」との遺族の声に応えたものだ。

 サイレン音の変更を要望したのは、石巻市にある西光寺の住職、樋口伸生さん(61)。寺は、約4千人が犠牲になった市内でも特に被害が大きかった南浜地区にあり、檀家(だんか)172人を失った。毎月命日には遺族が集い、胸の内を話す「蓮(はす)の会」を開いてきた。

 激しい揺れのあと津波に襲われ、子どもと一緒に避難したのに、自分だけ生き残ってしまった――。サイレン音を聞くと、あの日のことがよみがえると語る遺族がいた。追悼の合図がフラッシュバックの引き金になっていた。

 樋口さん自身も胸が痛くなり、呼吸も苦しくなる。「時間が経って、PTSD(心的外傷後ストレス障害)が治るどころか、ひどくなっていると感じる」と言う。

サイレン音聞こえぬよう、打ち鳴らす木魚

 寺では毎年3月11日に法要…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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