登録者51万人、「ぼっち」な勉強法 うまくいかなくても別の才能を

受験する君へ 大学生ユーチューバー パーカーさん

 どうも、パーカーです。ふだんは、「ぼっち」の大学生の日常生活を切り取った動画を投稿しています。今回は、僕の受験や大学での体験について紹介します。

 僕が将来を意識したのは高3の時です。神戸大の海事科学部で学べば、船のエンジニアや航海士などの職業に就けると知ったのです。仕事の内容より、何カ月も海の上にいて、休みの間にお金を思い切り使う、そんな生活にあこがれました。

 1999年生まれ、京都市出身。神戸大を休学中の2019年にユーチューブに投稿を始め、チャンネル登録者は51万人。20年にはエッセー「ひとりの時間が僕を救う」(KADOKAWA)を出版。本名非公表

 受験勉強ではユーチューブを参考にしました。いつ、どんな参考書を、どのように使って勉強すればいいかを教えてくれる動画が、頼りになりました。それぞれ自分に合った勉強法があるはずです。僕は誰かに言われたことに取り組むより、自分で工夫して勉強する方が性に合っていました。塾や予備校に通うだけでなく、色々な勉強法を試してみてください。

 希望通り神戸大に進んだのに、人と話すのが苦手な僕は友達を作れませんでした。学食で一人でごはんを食べ、授業中は目立たないように教室の隅に座ります。英語の授業で指され、40人くらいの前できょどって(挙動不審な動きをして)しまい、大学に行くのがいやになりました。

 筑波大の落合陽一さんの本を読んでコンピューターサイエンスに興味を持ったのは、そんな時です。筑波大で学びたいと、半年ほど勉強して自信満々で編入試験を受けましたが、結果は不合格。激しく落ち込み、神戸大を退学しようと思いました。でも親が猛反対したので、休学しアルバイトをしながら新たな進路を探し始めました。

 そんな時、鉄道や旅行などの動画で人気の大学生ユーチューバー、「スーツ」さんを知りました。自力で多くの人を楽しませる動画を投稿していて、憧れました。「このままではだめだ。何か始めなくては」と焦っていた時期で、危機感に押され、自分もユーチューブに挑戦することにしました。

 一般人の日常を映す動画のブームもあり、休学中や復学後の日常を投稿するうちに登録者は51万人に増えました。「ぼっち」で、編入試験に落ちてと、かっこ悪いところが、「おもしろい」とウケたのでしょう。登録者の半分以上は18~24歳の同世代です。高校生は5~6%。彼らには刺激が少なすぎるのでしょうね。

 昨年、堀江貴文さんのロケットの動画を見て、航空宇宙工学に興味を持ちました。今回は編入試験に合格し、春から室蘭工業大で学びます。ユーチューバーはこれからも続け、難しかったり認知度が低かったりする研究を、社会に橋渡しする動画を投稿するつもりです。他の人にはなかなか作れない、オリジナルの動画に挑戦していきます。

 関心の対象が次々と変わってきた僕が中高生のみなさんに伝えたいのは、一つのことでうまくいかなくても、別のことで才能が開く可能性があるということです。「社会の役に立つか」といった大きな視点で、やりたいことや進路を見定めていってほしいですね。(聞き手 編集委員・増谷文生

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 1999年生まれ、京都市出身。神戸大を休学中の2019年にユーチューブに投稿を始め、チャンネル登録者は51万人。20年にはエッセー「ひとりの時間が僕を救う」(KADOKAWA)を出版。本名非公表

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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