東アジア最大級のブナの原生林が広がり、アニメ映画「もののけ姫」の舞台のモデルになったとされる白神山地は、ユネスコの世界自然遺産に登録されてから11日で30年を迎える。青森県と秋田県にまたがり、広さが約13万平方メートルに及ぶとされる白神山地は、貴重な動植物が残る自然の宝庫。何度も足を運んでいる歌舞伎俳優の尾上菊之助さん(46)に、その魅力を聞いた。
おのえ・きくのすけ 1977年、東京生まれ。96年、「弁天娘女男白浪」ほかで五代目尾上菊之助を襲名。来年1月5日から新国立劇場で上演される初春歌舞伎公演に出演予定。古典歌舞伎のみならず、テレビドラマや映画に出演する。休日には青森の奥入瀬や十和田湖にも足を運ぶ。
――白神山地を訪れたきっかけは?
2021年10月にBS―TBSの番組「神秘と継承の世界遺産 白神山地」で訪れたことです。そのときは1週間ほど滞在しました。自然が素晴らしかったので、その年の11月、小学生の息子(七代目尾上丑之助さん)と2人で訪れました。
独身のころはふらっと海外旅行に行き、大自然の中で過ごすこともありました。子どもが生まれてからはなかなかその機会がなく、子どもを自然に触れさせたいとずっと思っていました。世界遺産巡りが趣味の一つだったので、白神山地には興味がありました。
白神山地でマタギの一族の末裔(まつえい)の吉川隆さん(73)から、話をうかがいました。その前にマタギの本を何冊か読み、白神山地が世界遺産に登録されるまでの歴史や、どのような場所かを勉強しました。
白神山地で暮らしてきた吉川さんは「山菜やキノコなど山の恵みは採りすぎず来年に残す。決してやりすぎない」とおっしゃっていた。そこには自然の中で生きる知恵があり、とても心に残りました。
――初めて白神山地に入ったときの印象は?
空気が違いました。秋だったので、紅葉が進んでいく山の美しさ、自然の豊かさに魅了されました。
ブナなどの植物に気づかされることがありました。雨によって地滑りが起こると、新しい命が芽吹くんです。破壊と再生を繰り返す自然の中で、木々は世代交代をしながら遺伝子は確実に残っていく。
繰り返す自然、伝統の継承に重なる
それは、私が身を置く歌舞伎…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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