時々で価格が大きく変動する野菜。今冬は白菜やネギなど冬野菜を中心に安値となった一方、ジャガイモやタマネギは全国的に高値が続き明暗が分かれた。背景には生育期の天候や新型コロナの影響があるとされ、生産者たちは価格の行方に気をもんでいる。
農林水産省が公表している全国8市場(札幌、仙台、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、福岡)の主な野菜の卸売価格をみると、1月中旬は全品目の73%が平年より安く、平年並みは10%、高いのは17%だった。
東京都中央卸売市場では今月19日時点で、ニンジンと冬野菜の代表格である白菜が最も安く、ともに平年の68%。ほかにキャベツ(80%)、ネギ(92%)なども安かった。コロナ禍で外食需要の鈍さが続く一方、昨秋以降、台風などによる目立った被害がなく「全国的に豊作だったことが、この冬の安さの主な要因」(農水省の担当者)だという。
「豊作でも、かけた手間は変わらない。市場で評価されないのは悲しいです」。今も安値が続く白菜の産地・茨城県結城市の農家大木英俊さん(53)はため息をつく。
大木さんは約6ヘクタールの畑で白菜を作っている。去年は9~10月に一時冷え込みが強まったものの、その後は穏やかな天候が続いた。例年、出荷できるサイズに育つのは収穫量の約7割。今季は9割ほどがその大きさになった。豊作は昨季に続いてのことだという。
この時期、白菜は居酒屋での鍋料理で大量消費されるが、オミクロン株の大流行でその需要は今冬もない。一方、大木さんが納品する「JA北つくば」では、日々の出荷量が平年の15%増し。スーパーとの直接契約などで価格の下支えを目指すが、全体のカバーにはほど遠い。大木さんの年収は3割減で、設備投資の先送りなどやりくりが続く。「コロナ禍が収まっても、大勢で鍋を囲む会食の需要が以前のように戻るのかは分からない。この状況が続けば、他の作物への転作も考えることになるかもしれない」
対照的に、高値が続くのがジャガイモとタマネギだ。1月中旬は主な8市場全てで平年より高く、東京都中央卸売市場では今月19日時点で、ジャガイモは平年比166%、タマネギは同174%。農水省の予測では、高値は今後も続く見通しだ。
高値の背景にはジャガイモと…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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