ハノイ=多田晃子
ベトナムを訪問中の秋篠宮ご夫妻は21日、「残留日本兵」の子や孫と首都ハノイのホテルで対面した。2017年に天皇、皇后両陛下として訪問した上皇ご夫妻に続き、親子2代にわたる交流となった。
終戦時、約600人の日本兵が帰還せず、フランスの再統治に抵抗する「ベトナム独立同盟」(ベトミン)に協力。多くがベトナムで家族をつくった。だが1954年以降、東西冷戦を背景に、旧日本兵は日本へ送還されることになった。
元残留日本兵の杉原剛さん(享年98)を父に持つレ・バン・ミンさん(71)は秋篠宮ご夫妻と対面し、「日本の皇族が私たち家族に関心を持ってくださることにとても感動した」と話した。
父と離ればなれとなったグエン・ティ・フオンさん(74)は秋篠宮さまの手を握ったまま感謝を伝えた。対面後、「ご夫妻は、困難を乗り越えるよう、私たちを励ましてくださった」と涙を流しながら話した。
フオンさんは、母の故グエン・ティ・スアンさん(享年93)や弟とともに上皇ご夫妻とも対面している。この対面によって、残留日本兵のベトナム人家族の存在が知られるようになった。日本財団などの協力でフオンさんら残留日本兵の家族ら14人の来日も実現した。
秋篠宮ご夫妻はこの日、ホーチミン廟(びょう)に供花し、スアン国家副主席主催の昼食会に出席した。「日本とベトナムの交流の歩みに思いをはせるとともに、これからの50年を担う人々と接し、改めて両国関係についての理解を深める機会にしたい」と述べた。
日越外交関係樹立50周年記念式典に出席。秋篠宮さまは、残留日本兵の家族の苦労に触れ、「元日本兵がベトナムで築いた家族と、帰国後に築いた家族との間で、今でも交流が続いている方がおられることを伺い、深い感慨を覚えました」と述べた。(ハノイ=多田晃子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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