部活動での体罰や、激しい叱責(しっせき)などの不適切な指導が後を絶たない。なくすためには何が必要か。元日本女子バレーボール代表で、小学生向けに「監督が怒ってはいけない大会」を開いている益子直美さん(56)に聞いた。
怒りを我慢することが大変なストレスという指導者はまだまだ多い。体罰がなくならない理由でもあると感じます。
子どもの体や心を傷つけるような指導を報道で見ると、かつて自分が受けたときのことを思い出して胸が苦しくなります。
私が開いている大会では、子どもたちに「コーチや監督が怒ったら知らせるんだよ」と伝え、報告があると私が指導者のもとに出向いて優しく指摘します。
この大会は、7年前の2015年、福岡市で始めました。福岡ではその後も毎年、開いていますが、他の地域からもお声がかかり、開催地が広がっています。
もともとは「子どもたちがもっとのびのび、楽しんでプレーしてほしい」という気持ちで始めました。
私自身も、日本アンガーマネジメント協会の講座で、怒りがわく理由や、そのコントロールについて学び、自分でセミナーを開催できる資格を取りました。昨年には一般社団法人にして活動を続けています。
日本アンガーマネジメント協会は、「怒りの感情との上手な付き合い方」の普及を目的に、一般向けの講座や、企業、団体、教育機関向けの研修を開催している。
「怒ってはいけない」と銘打っていても、大会中に怒りをあらわにして怒鳴りつけてしまう指導者はいます。
「熱心に指導しているだけで怒っているわけではない」と信じている人や、「怒るのをやめてみましょう」と言っても「ほかにどうしていいか分からない」と答える人もいます。
そんなときは「良い部分をほめてあげて」「ミスするな、というより、どういうプレーをして欲しいか具体的に伝えましょう」と促します。
笑顔が増えた子どもたちを見て、「確かにこのやり方がいい」と気付いてくれる監督もいました。
インタビューの後半では、子どもをほめる指導の良さや、指導法を変えるのが難しい人の特徴について触れています。
しかめ面のベテラン監督 その言葉に子どもたちは…
ある年の大会で、「ずっと怒…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル