目の前で聞いた「いじめを乗り越えろ」論 遺族代理人の弁護士は憤る

 大津市の中学生が、いじめを苦に自殺したことをきっかけに、10年前に施行された「いじめ防止対策推進法」。いじめ自殺をなくすための法律ができた、はずだった。事件で遺族代理人を務め、各地のいじめ問題に携わる石田達也弁護士(滋賀弁護士会)は、この10年で「できたのは法律だけ」と憤る。

 ――いじめ防止対策推進法では、いじめを「心身の苦痛を感じているもの」と広く定義したことが特徴とされました。この10年の状況を教えてください。

 学校や教育委員会に対策組織ができて、学校ごとにいじめにどう取り組むかというルールをつくるようになった。組織やルール面で、いじめ対策が進んだのはよかった。

 一方、教育行政の担い手レベルで見ていると、子どもを徹底していじめから守ろうという法の趣旨や目的が、残念ながら浸透していない。いじめでつらく苦しい思いをしている子どもに寄り添い、つらい気持ちを解消してあげないといけないのに、いじめを軽く見る意識があったり、表面的な解決で終わらせようとしたりする事案が目立つ。

 ――なぜでしょうか。

 法律があることは理解しているが、対処を任されている先生が、どうすればいいのかわかっていない。被害者救済が法律の狙いだったはずなのに。最悪の結果(自殺)に追い詰められた例もあまた見てきた。

「徹底的に被害者の話を聞いて」

 ――どうしたらいいでしょうか。

 徹底的に被害者の話を聞いて…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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