《東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=が両親から虐待を受けて死亡したとされる事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里(ゆり)被告(27)の裁判員裁判の第3回公判で、被告人質問が5日午後、東京地裁(守下実裁判長)で始まった》
《夫の雄大(ゆうだい)被告(34)=同罪などで起訴=からの「報復が怖かった」と初公判の罪状認否で述べた優里被告。児童相談所の訪問も拒否し、“密室”と化した自宅アパートで、結愛ちゃんが死亡するまでに何があったのか。5歳の女の子が衰弱死するまでの経緯を優里被告がどう語るのか、注目が集まる》
《午後1時半、裁判長が法廷の再開を告げる》
裁判長「証言台の前に出て、いすをひいて座ってください。最初に言った通り、黙秘をすることもできますが、あなたのお話がとても大事なので、自分の気持ちを正直に話してもらいたいと思います」
《優里被告に対して、弁護人の質問が始まる。優里被告は午前の審理で、香川県に住んでいた頃の小児科医らへの証人尋問で涙を流していたが、休憩を挟んで落ち着いた様子だ》
弁護人「だいぶ泣いていましたが、それはどういう気持ちでしたか」
優里被告「…」
《少し考えるようなそぶりをした後、涙混じりに言葉にならない声を発する優里被告。弁護人が重ねて質問しようとすると、唇を震わせながら語り始めた》
優里被告「私は…加害者であると同時に被害者の母親でもあります。加害者としてはやっぱり結愛に対して『ごめんなさい』と…軽々しい言葉では済まされないぐらい…でも『ごめんなさい』以上の『ごめんなさい』を表現する言葉が見つからなくて、結愛に対しては、ごめんなさいと謝り続けることしかできないけど…」
《結愛ちゃんへの謝罪を口にする優里被告。結愛ちゃんを助けられなかったことへの自責を言葉にするとともに、小児科医ら結愛ちゃんを助けようとした人への感謝も口にする》
優里被告「被害者の母親としての立場からは、今日までに証人として来てくださった人もみんな結愛のことを守るために来てくれて…それで…証人の人たちに結愛を守ってくださってありがとうって感謝の気持ちでいっぱいになりました」
弁護人「これからどんなことがあったか細かく聞いていきます。頑張れますか。大丈夫ですか」
優里被告「はい」
《思いの丈を語り終え、少し落ち着いた様子の優里被告。弁護人の質問に、考えながらもよどみなく答え始めた》
弁護人「捜査段階でそういう話はしゃべっていないようですが、なぜここで話そうと思いましたか」
優里被告「DV(家庭内暴力)と言われても、私自身はそういう自覚がずっとなくて、逮捕されたときに『雄大の呪縛(じゅばく)を解かないと』と言ってもらって。最初何のことを言っているのか全然分からなくて、弁護士さんに相談する中でだんだんそういう(DVのような)ことがあったんだと分かってきました。でも本当は自分でも被害者面することがすごく嫌で、そんな話はこの裁判で言うべきではないと思ってたんですけど、医師と話して、『雄大には雄大の、私には私の責任がある』と言われて本当のことを話したいと思いました」
弁護人「DVのことを話すと、言い訳しているように思われるのがつらかったんですか」
優里被告「そうです」
《弁護人の質問は事件現場となった目黒区のアパートに一家が転居する前の生活状況に移る》
弁護人「少し誘導尋問みたいな話し方になってしまうけれども、雄大さんと出会うまでのことを聞いていきますね」
弁護人「19歳のときに前の夫と結婚して、19歳で結愛さんを出産。22歳で前の夫と離婚しています。雄大さんと入籍したのは平成28年4月なので出会ったのはその半年前ぐらいですか」
優里被告「そうです」
弁護人「どこで会いましたか」
優里被告「職場で会いました」
弁護人「再婚までの1年半はどのように暮らしていましたか」
優里被告「結愛と2人で暮らしたこともありましたし、私のお父さんとお母さんが力を貸してくれて4人で暮らすこともありました」
弁護人「生活ぶりについて聞きますが、仕事はしていましたか」
優里被告「はい」
弁護人「どのような生活だったんでしょう。自由気ままだったのか、結愛さんをどう育てようと思っていた、とか」
《自分のことについてははっきりと話す優里被告だが、話が結愛ちゃんに及ぶととたんに涙声になる》
優里被告「とにかく、結愛の笑顔を…見るのが仕事の疲れとかを癒やしてくれる感じだったし、結愛が楽しくいられる生活を心がけて過ごしていました」
弁護人「雄大さんと出会って、雄大さんに何を求めましたか」
優里被告「私が社会に出ていなくて無知だったので、雄大に出会って雄大は色んな知識を持っていたので、それを教えてほしいと思いました」
弁護人「前の夫は同い年でしたが、雄大さんは8歳上です。年の差以上に何でも教えてくれる人だったんですか」
優里被告「はい」
弁護人「結愛さんのパパになってほしいと思いましたか」
優里被告「そのときはそう思いました」
弁護人「どうなってほしいと思いましたか」
優里被告「結愛が一番楽しく過ごせる家庭を作りたかった」
弁護人「結愛さんは雄大さんになついていましたか」
優里被告「肩車してもらったり、スキンシップを取ったり仲良くしていました」
弁護人「結愛さんは雄大さんのことをなんと呼んでいましたか」
優里被告「その頃は『おにいちゃん』と言っていました」
弁護人「雄大さんは結愛ちゃんに対してどうでしたか」
優里被告「雄大もスキンシップをとって、結愛も自分からひざの上に乗ったりして甘えていました」
=(2)に続く
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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