寺島笑花、伊藤宏樹
新型コロナウイルスの影響で1月から延期された成人式が2日、岩国市と山陽小野田市など山口県内4市町であった。晴れ着やスーツ姿の新成人たちは、懐かしい友人との再会をマスク越しで喜び合った。
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岩国市では市民文化会館で2部制で開催。新成人1365人のうち、約半数の677人が出席した。
実行委員の長田祥輝さん(20)によると、延期か中止か、市職員と直前まで議論した。今春就職した人も多く、これ以上の延期は難しいとの意見が多かったという。市内の短大で保育を学ぶ長田さん。「子どもと接する機会がなくなって悔しい。実践がないまま社会に出る不安はあるけど、一人の大人としてどんな状況でも自分の力で生きていかなければと改めて自覚した」と話した。
川崎望さん(20)は今春から防府市の児童養護施設で保育士をしている。就職前にも中学の友人と会う計画を立てていたが、新型コロナの影響でかなわなかった。「帰省できなかった県外の友だちもいたけど、ようやくみんなと会えてうれしかった」と話した。
式典会場で新成人の着付けをした呉服店によると、県外の新成人を中心に、当日までにキャンセルが15%ほどあったという。
市の担当者は「葛藤はあったが何とかできたという安堵(あんど)感がある。やってよかったのかという迷いは今もあるが、新成人にはおめでとうと言ってあげたい」と話していた。
山陽小野田市では例年1会場で行う式典を2カ所で2回ずつ開催。777人のうち347人が参加した。新成人たちは30分ほどの式典と記念撮影のあと、屋外で携帯電話を手に写真を撮り合った。
地元の山口東京理科大に通う久保菜々香さん(20)は「昔の仲間と会えるこの日を心待ちにしていた。学校はほぼオンライン授業。人と会って話すことの大切さが身にしみる」と喜びをかみしめた。小学生のころに交通事故に遭った経験から「将来は地元を守る仕事がしたい」と話し、消防士をめざすという。
京都府の同志社大3年の男性(20)は「帰省していいのか、迷いがあった」と打ち明ける。それでも「成人式が楽しみで、食事会には一切行かず、自炊や弁当生活を続けて体調管理を万全にしてきた。準備をしてくれた人たちに感謝したい」と話した。(寺島笑花、伊藤宏樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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