直筆で求められた「しょうがいかあります」 自治会班長を断った末に

 障害があることや苦手な作業を文書に記すよう強要され、息子は追い込まれた――。両親がそう訴え、文書を作成させた自治会役員らに損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は4日、文書の作成を求めたことを「違法」とし、計44万円の支払いを命じた。判決が重んじたのは、誰もが義務のないことを強要されない権利だった。

 判決や裁判資料などをもとに、経過を振り返る。

 2019年11月。大阪市平野区の市営住宅に住む36歳の男性のポストに、1通の知らせが届いた。

 「来年度の3階の班長をくじで決めるために集合してください」

 男性には、精神障害と知的障害があった。買い物はできるが、人前で話すことは苦手。通院しながら1人で暮らしていた。

 「障害があるため、班長の仕事はできない。ただ、障害があることは他の住民に言わないでほしい」

 そんな思いを、自治会の班長らに説明した。

 約1週間後。自治会長や班長ら4人で話し合いの場がもたれた。班長から、ほかの住民に説明するため、日常生活でできること、できないことを直筆で書いてほしいなどと依頼された。

 質問を受けながら、30分ほどかけてゆっくりと書いていった。

 しょうがいかあります

○2500えんはふうとうにいれれます

×おかねのけいさんはできません

○1たい1ではおはなしできます

×ひとがたくさんいるとこわく…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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