相模原45人殺傷の植松聖被告に死刑判決…「最後にひとつだけ」も裁判長発言認めず(スポーツ報知)

 神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った事件の裁判員裁判で、横浜地裁は16日、殺人罪などに問われた元職員・植松聖被告(30)に求刑通り死刑判決を言い渡した。新型コロナウイルスの感染防止対策で間隔を空けるため、約25席の一般傍聴席で使用されたのは10席のみ。注目の判決公判としては異例の対応となった。

 「あっ、すいません、最後にひとつだけ」。極刑を告げられた植松被告は、右手を挙げ、突然訴えた。裁判長が控訴についての説明などを終え、裁判員らが立ち上がろうとした瞬間だった。

 法廷内がざわつく中、青沼潔裁判長は「閉廷します」と退けた。傍聴人はしばらくその場を動かなかったが、裁判長や職員らが退廷を促した。被告は先月19日の最終意見陳述で「どんな判決でも控訴しない」と述べており、最後のパフォーマンスが封じられた格好になった。

 約40分にわたった判決公判。被告はこれまでと同じ黒いスーツ、白いシャツ、長い髪を後ろで束ねた姿で出廷した。厳刑が予想される「主文後回し」の判決理由朗読の後に「被告を死刑に処する」と言い渡されても、ほとんど身動きせず聞いていた。

 争点は刑事責任能力の有無だったが、判決では弁護側の主張を全面的に否定し「完全責任能力」を認定した。「結果は甚だしく重大」「遺族らの峻烈(しゅんれつ)な処罰感情も当然」と非難が続いた一方で、被告が自らの正当性を主張してきた発言内容は量刑理由の中で一切触れられなかった。被告は時折、裁判長や裁判員の方を見渡し、首をかしげる様子も見せた。

 公判で弁護側は大麻による精神障害で心神喪失状態だったとして無罪を主張してきたが、判決は「幻覚や妄想は否定できないものの、動機に沿った行動を取る一方、状況に合わせて合理的な行動をしていた」と退けた。

 判決によると、16年7月26日未明、入所者の男女を刃物で突き刺すなどして19人を殺害、24人に重軽傷を負わせた。また職員5人を結束バンドで廊下の手すりに縛り付け、2人を負傷させた。

 注目を集めた判決公判だったが、新型コロナウイルスの猛威は傍聴機会にも影響を与えた。これまでの公判での一般傍聴席は25~26席だったが、間隔を空けるため、使われたのは10席のみ。残りはテープで封鎖された。傍聴希望者は1603人だったため、当選倍率は約160倍に達し、1月8日の初公判時の倍率75倍(希望者1944人、当選26人)を大きく上回った。これまで屋内で地裁職員が希望者の手首に巻き付けていたリストバンド型のくじは、屋外で希望者自ら装着する方式に変更された。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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