1千年余の歴史があるとされ、福島県相双(そうそう)地方の夏を彩る国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追(のまおい)」が25日、始まった。コロナ禍で観客を入れずに神事のみとし、2011年の東日本大震災時よりも規模を縮小して行われる。27日まで。
この日午前9時、相馬市の相馬中村神社の本殿で、第33代当主の名代として総大将を務める相馬家の相馬行胤(みちたね)氏(46)が、簡略化した「省略野馬追」になることを神前で報告した。
庭では総大将や宮司らを前に、甲冑(かっちゅう)に身を包んだ約10人の軍者らが出陣式に臨み、勇壮なほら貝の音を合図に出立。乗馬したのは総大将のみで、軍者とともに列をなした。例年は市内をめぐるが、今年は境内の大手門までとなった。
相馬野馬追のハイライトとなる甲冑競馬や神旗争奪戦、騎馬武者のお行列、古来の姿をとどめる野馬懸(のまがけ)も中止になった。
総大将の相馬氏は「参加できない騎馬武者の思いや、見られなかった住民の気持ちをかみしめながら出陣した」と話した。(佐々木達也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル