東郷隆 柴田秀並 畑宗太郎
国土交通省の元事務次官らOBが国交省の威光を背景に上場企業の幹部ポストを要求していた問題をめぐり、国会で天下りの実態調査を求める声が相次いでいる。調査に否定的な政府に対し、野党は衆院規則に基づく「予備的調査」を衆院に要請。天下りを規制するルールでは今回のような退職者の言動は対象になっておらず、新たな手立てを求める意見も出ている。(東郷隆、柴田秀並、畑宗太郎)
「放置すれば癒着」野党が追及
19日、参院本会議で立憲民主の高木真理議員は「元次官が一民間企業に乗り込み、社内人事に露骨に介入した案件」「(官僚の)再就職先が指定席化していないかなど、天下りの実態を明らかにすべきだ」と政府による調査を求めた。岸田文雄首相は「すでに公務を離れた、予算や権限を有していない民間人としての活動に関して、調査は予定していない」と述べた。
その後の衆院国土交通委員会でも、立憲の城井崇議員が「放置すれば官民癒着につながる」として新たな規制が必要だと主張し、「矮小(わいしょう)化するのか」と調査を求めたが、斉藤鉄夫国交相は調査の予定はないとした。立憲は、衆院規則に基づく「予備的調査」で省庁幹部の再就職の状況を調べるよう衆院に要請している。
今回の問題では、元国交次官で東京地下鉄(東京メトロ)会長の本田勝氏(69)が昨年12月、東証プライム上場の「空港施設」を訪れ、首脳に対して国交省OBで同社副社長だった山口勝弘氏(63)=3日付で辞任=を社長にするよう求めていた。前年には、当時取締役だった山口氏が役員人事を話し合う会議で、国交省側の意向だとして副社長ポストを求め、就任していた。
再就職先を確保するために談合
天下りは官民癒着の温床と問題視されてきた。
象徴的な例が、旧防衛施設庁…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル