それぞれの最終楽章・救命現場の悩み(5)
済生会横浜市東部病院副院長・山崎元靖
4回にわたって救急現場の悩みをお話ししてきました。採り上げた例はいずれも救急搬送が端緒でした。
肉親が倒れた、見知らぬ人がけがをしている……。日本人なら誰しも119番で救急車を呼ぶでしょう。「救急車を呼びさえすれば、何とかしてくれる」という信頼が根付いているからで、日本はとても恵まれた社会だと思います。
日本の救急搬送は無料です。日本人は当たり前だと受け止めていますが、先進国の中では例外です。「無料」が、安易な搬送依頼につながりやすいのは間違いありません。
在宅介護の高齢男性が肺炎で救急搬送されてきました。「人工呼吸器をつければ治ります」と家族にいうと、「そこまでしなくていい」と返ってきます。ではなぜ救急車を呼んだのでしょう。これは例外的な事例ではなく、私たちは毎日のように経験しています。
横浜市の規則では、救急車が患…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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