新型コロナウイルスの感染拡大を受け、医療機関では院内感染への危機感が高まっている。特に最前線で患者と接する看護師は感染リスクと隣り合わせだ。看護師でもある自民党の石田昌宏参院議員は「現場は大きなジレンマを抱えている」と窮状を語る。
--医療機関で何が起きているのか
「患者に直接触れ、寄り添うのが看護の基本だ。ところが陽性患者の場合、背中をさすって励ましたくてもできない。特に看護師がジレンマを感じているのは患者が亡くなったときだ。家族に最期をみとらせることも、ご遺体をきれいにして十分にお見送りすることもできない。感染を予防するために特別な納体袋に遺体を包んで送る。相当な精神的負担になっている」
「子供が通う保育園などから預かりの自粛を求められるケースもある。私が所属する自民党の看護問題対策議員連盟は1日、看護師の子供の保育支援や心身の負担を勘案して報酬を上乗せすることなどを求める決議文を西村康稔経済再生担当相らに提出した」
--「医療従事者に感謝の言葉を」という言葉をよく耳にする
「ありがたいことだ。しかし、もっとも大事なのは外出を自粛してもらうことだ。こうした状況でもパチンコ店などに行く人がいるとすれば、それがどれだけ医療現場にネガティブな感情を生じさせているか、考えていただきたい」
--マスクやガウンなどの防護具不足が叫ばれる
「感染の収束は見通せない。医療機関の規模などに合わせて定期的に供給できる量を示せると安心感につながる。また、患者を受け入れている医療機関のすべての医療従事者にPCR検査を受けさせてほしい」
--収束には国民の行動変容が必要だ
「働き方も見直されている。だが、役所とテレビ会議をする際、役所が古いシステムを使っているため不通になることがある。別の方法を提案しても『セキュリティーの問題で対応できない』といわれる。政府も環境整備を進めるべきだ」
--感染症対策の重要性が浮き彫りになった。
「5月12日はナイチンゲールが誕生した日にちなみ国際看護師協会が定めた『国際看護師の日』。生誕200年の節目に当たる今年は世界中で大規模なキャンペーンが行われる予定だったができなくなった。クリミア戦争(1853~56年)の際、現地に赴き、傷病兵を看護したことで知られるナイチンゲールは、野戦病院の衛生状態や環境改善に努めた。特に感染による死亡率を大幅に下げ、近代看護の礎を築いた。もう一度、看護の原点に立ち戻り、情報発信していきたい」(長嶋雅子)
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いしだ・まさひろ 昭和42年、奈良県生まれ。平成2年、東大医学部卒。在学中に看護学の教授に導かれて看護師となり、聖路加国際病院、東京武蔵野病院に勤務。衆院議員秘書を経て7年から日本看護協会に勤務。17年、日本看護連盟幹事長。25年、参院選比例代表で初当選し、2期目。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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