県境をまたいでも同じ生活圏の仲間。手を取り難局乗り越えよう――。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除された熊本・鹿児島県境の熊本県水俣市、鹿児島県出水市の両市長が15日、そんな共同メッセージを発表した。背景には新型コロナに絡む緊張した空気や、一部の心ない言動があるという。
高岡利治・水俣市長と椎木伸一・出水市長によるメッセージは「(宣言解除後も)引き続き、県境をまたいだ不要不急の移動を自粛するよう求められておりますが、私たちの生活に必要不可欠な通勤や通学、毎日の生活に欠かせない買い物などまで自粛を求められているものではないと理解している」と強調。「同じ生活圏の仲間として、より一層理解し、協力し合い、手を取りあいながら、難局を乗り越えていける」と両市民の結束を呼びかけた。
両市の間では日頃から、通勤・通学や買い物のため県境を越え行き来する住民が多い。いずれの市でも同日現在、新型コロナ感染者は確認されていない。
だが水俣市などによると、緊急事態宣言解除前の今月上旬、「出水市内のスーパー駐車場で熊本ナンバーの車に卵が投げつけられた」との情報を把握した。水俣市幹部は朝日新聞の取材に、「出水市内の(別の)スーパーで、水俣からの買い物客が別の客から『水俣のもんは水俣で買い物しろ』と言われた話も聞いている。熊本県より鹿児島県の感染者数が少なく、温度差があるのでは」と明かした。
「県境で分断されることなく、一緒に手を取って乗り越えていきたい」と、この幹部はメッセージの意義を語る。両市は同日、メッセージをホームページに掲載した。(奥正光)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル