県民の大半が見たことない 福島の県花、名付け親は朝ドラで話題

 「県花」と言えば、県民になじみのある「シンボルの花」を思い浮かべるだろう。北海道は「ハマナス」、青森は「リンゴの花」、和歌山は「ウメ」、沖縄は「デイゴ」といった具合に。

 でも、県民の大半が目にしたことのない県花がある。福島の「ネモトシャクナゲ」だ。その希少な花がいま真っ盛りだ。

 福島市の吾妻山(あづまやま)にある山小屋「吾妻小舎(ごや)」の庭先に1本のネモトシャクナゲが自生している。標高約1600メートルの場所で、50個ほどあるピンク色の蕾(つぼみ)が順に花を咲かせている。花びらがいくつも重なる「八重(やえ)咲き」の花だ。一重(ひとえ)咲きのハクサンシャクナゲが周りを囲むように群生している。

 山小屋の管理人、栗田純一さん(42)が「蕾を見ただけではネモトシャクナゲかハクサンシャクナゲなのか、私も見分けがつかない。花が咲いてみないと分からないので、見逃されることも多いんです」と教えてくれた。

 高山植物であるネモトシャクナゲが福島県内で自生しているのは、ここ吾妻山と安達太良山二本松市など)に限られる。しかも、数は極めて少ない。

 福島県が「県の花」に定めたのは1955年だ。県などによると、その前年にNHKが中心になり、全日本観光連盟(現・日本観光振興協会)や日本交通公社などと「郷土の花」を各都道府県別に募集した。福島はネモトシャクナゲだった。それ以前に県花を制定していた県もあれば、「郷土の花」とは別の花を「県花」に定めたりした県もあったが、福島県は郷土の花をそのまま県花にした。

 40年ほど前にまとめられた県の研究書には揶揄(やゆ)するように、こう記されていた。

 「県花であることは県民がよ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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