現場へ! 被爆を伝承する③
被爆者の岸田弘子(83)から被爆体験を「伝承」するソプラノ歌手の豊嶋(てしま)起久子は、3年かけて約1万字の「講話原稿」をほぼ完成させた。説明用ソフトを使いながら、約40分間、岸田に成り代わって証言する。
だが「伝承者」が語るには、被爆者本人以上に工夫がいる。どうすれば聞き手によく伝わるか。豊嶋は思案に暮れた。苦悶(くもん)の跡は、岸田から聞いた内容を書き込んだ豊嶋の「取材ノート」のメモからもうかがえる。
「黒い雨をあびたトマト」
「きもちの悪いしずく」…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル