真っ赤なラベルの「燗猿」誕生、動物園と老舗酒蔵をつないだ手ぬぐい

 新型コロナで入場者が減った猿専門の動物園・日本モンキーセンター愛知県犬山市)が、オリジナルデザインの日本酒「燗猿(かんざる)」を発売中だ。火災で作業場を焼失した澤田酒造(同県常滑市)とのコラボ商品で、売り上げは順調。それぞれ苦境に立っていた両者をつなげたのは、「手ぬぐい」だった。

 「燗猿」は、300ミリリットルで税込み800円。猿のお尻を思わせる真っ赤なラベルにはニホンザルのイラストと「燗猿」の文字が印刷されており、目をひく。センター内に1カ所ある売店でのみ購入できる。

 昨年末に販売を始め、直後からSNSや電話で問い合わせが来るなど反響は大きい。味わい深い辛口で香りも濃厚と、好評だ。

 2019年度に10万人以上いたセンターの来場者は、コロナの影響で20年度は約6万7千人に減った。厳しい状況は続くが、担当者は「日本酒めあてのお客さんもいて、入園者が徐々に戻りつつある。燗猿が復活の起爆剤になってほしい」と手応えを口にする。

麹を全て失った酒蔵

 酒を造った澤田酒造は、1848(嘉永元)年から続く老舗の酒蔵だ。2020年11月、創業以来最大の危機に襲われた。作業場で火災が発生。蔵が燃え、日本酒造りに不可欠な麴(こうじ)を全て失った。6代目の澤田薫社長(40)は「廃業も考えた」という。

 しかし、麴の生産を引き受けるなど同業の酒蔵が救いの手を差し伸べ、火災から約半年後の昨春、日本酒「白老」を造った。新酒完成までの過程にテレビ局が密着し、その様子はテレビで放送された。

 「あれ? この色と模様、ウチのグッズじゃん」

 21年1月26日夕方、澤田…

この記事は有料会員記事です。残り900文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment