吉沢英将
西日本を中心に、8月は各地で記録的な降水量となった。異常気象を分析する専門家でつくる気象庁の検討会が13日に開かれ、会長の中村尚・東京大先端科学技術研究センター教授は「真夏にもかかわらず梅雨時のような雨となった。異常気象と言って差し支えない」との見解を示した。
気象庁によると、西日本の8月の降水量は平年の3・31倍で、8月としては1946年に統計を取り始めてから最も多かった。全国1029地点のアメダスで観測された8月中旬の降水量の合計は23万5788ミリで、西日本豪雨があった2018年7月上旬(21万8844ミリ)を上回った。
8月以降、日本の北にあるオホーツク海高気圧が強まったとともに、南にある太平洋高気圧が平年より南に張り出したことで「梅雨後半のような大気の流れ」になったと検討会は分析した。二つの高気圧の間の前線に大量の水蒸気が流れ込み続けたため、広い範囲で大雨が長引いたという。
このほかにも、上空を流れる亜熱帯ジェット気流が平年よりも南下し、特に日本の西で南に蛇行したことが影響。地球温暖化で気温が上がり、大気中の水蒸気量が増えたことも関連しているとみられるという。
中村教授は記者会見で、「各地でこれまでにない雨量が観測される可能性は、以前よりはるかに上がっている」と注意を呼びかけた。(吉沢英将)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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