吉川喬
ノーベル物理学賞の受賞が決まった真鍋淑郎さん(90)が気象の研究に用いた方程式を、外壁などにデザインしたホテルが岡山市中心部にある。真鍋さんの受賞が決まり、ホテル側はデザインを見た人が地球環境についてさらに考えるきっかけになれば、と願っている。
ホテルは岡山市の岡山後楽園の近くにある「A&A リアムフジ ”The Manabe Equation House”」(北区天神町)。現代美術アーティストのリアム・ギリック氏の着想をもとに、建築家が設計した木造2階建てで、2019年にオープンした。真鍋さんの方程式のデザインが外壁などに多数あしらわれている。
ホテルのホームページによると、ギリック氏は真鍋さんの方程式を「優美な様相を呈すると同時に機能的であり、温暖化という問題について曖昧(あいまい)に注意喚起するのではなく、人々にそれに関わる科学的根拠や研究に目を向けてもらうことを意図している」と評価。ホテルは「(真鍋さんへの)オマージュであり、多大なる貢献への敬意を示すものだ」としている。
ホテルを運営する公益財団法人「石川文化振興財団」の担当者は「科学、アート、建築が三位一体となったこのホテルは、まさに未来志向であり、ホテルの形をしたアートだ」と語る。真鍋さんの受賞決定を喜び、「このホテルが地球温暖化について考え、世界の人が岡山を訪れるきっかけになれば」と話している。(吉川喬)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル