プラネタリウムが世界で初めて公開されて21日でちょうど100年。日本はいまやプラネタリウム大国だ。普及し始めた当時は、科学や天文学の学習投影のためだったが、今ではエンターテインメントや療養にも使われている。(小川詩織)
「月が西に傾いてきました。空には夏の大三角や秋の四辺形が見えています――」。日本最古の現役プラネタリウムがある兵庫県明石市の市立天文科学館では、きょうも学芸員による生解説が続いている。
1960年の開館から80年あまり。95年の阪神淡路大震災で科学館の建物は大きな被害を受けたが、復活し、復興の象徴にもなった。
眠ってOK「熟睡プラ寝たリウム」
そんな投影が毎年11月23日の勤労感謝の日、暗いプラネタリウムの中で日頃の疲れを取ってもらおうという企画「熟睡プラ寝たリウム」になる。東日本大震災があった2011年に始めた。
きっかけは、投影の感想を尋ねたところ、観客が「すみません、ついウトウトと眠ってしまって……」と申し訳なさそうに答えたことだった。
確かに投影中のドームは暗く、リクライニングした椅子で横になると、静かな音楽や語りが眠気を誘う。井上毅館長は「これで寝るなと言う方が無理。なら、罪悪感を感じずに堂々と眠って疲れた体を休めてもらおう」ということになったと説明する。
試みは全国に広がり、今や60近い施設が参加する一大イベントになった。なかには毛布や抱き枕が持ち込めたり、アロマを炊いたり、「いびき席」を用意する科学館もある。プラネタリウム誕生100周年を契機に、世界進出を夢見ているという。
山梨県北杜市の一般社団法人「星つむぎの村」は、病気や障害で外出できない子どもたちに星空を見せようと、病院や支援学校への出張プラネタリウムを続けている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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