知らない間に訴訟で敗訴し、銀行預金を差し押さえられた女性が判決取り消しを求めた再審が15日、久留米簡裁であり、簡裁は判決を取り消した。簡裁は、女性を訴えた男性の偽装により、女性と無関係の場所に訴状や判決文が送達されたとして再審開始を決定。女性の訴えを認めた。
判決などによると、男性は2019年、かつて勤めていた福岡県久留米市のスナックを経営する女性を相手取り、未払い賃金122万円などの支払いを求めて久留米簡裁に提訴。簡裁は男性が指定した無関係の住所に訴状を送ったため、女性が出廷できないまま昨年1月、男性の訴えを認める判決が出て、確定した。
女性が判決に気付いたのは昨年夏。通帳に「サシオサエ」と記され、約134万円が出金されていた。裁判所に問い合わせ、提訴されていたことを知った。
訴状の住所が女性と無関係だったため、簡裁が再審を決定。女性は、賃金は当日の現金払いで、未払い賃金はないことなどを再審で主張した。ただ、差し押さえられた金を取り戻すには損害賠償を求める訴訟を起こす必要があるという。
男性は同様の手法による訴訟を熊本など各地で起こしている。久留米簡裁ではこの日、再審判決がもう1件あり、久留米市でスナックを経営する別の女性に対し、この男性への未払い賃金67万5千円などを支払うよう命じた判決も取り消された。(野上隆生)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル