知事めぐり飛び交うツイート 際立つ吉村氏への注目度(産経新聞)

 新型コロナウイルス対策をめぐり、都道府県で陣頭指揮に当たる知事たち。状況に応じた対応ぶりに注目が集まる中、ツイッター上でも知事の名前がひんぱんに飛び交っている。産経新聞が9~10日にツイッターに投稿された「知事」などの用語を含むツイート約2万2千件を解析してみると、3割が大阪府の吉村洋文氏に関する投稿で、注目度の高さが改めて浮き彫りになった。投稿をAI(人工知能)などで解析すると各知事の評価は分かれるが、ツイート数が少なくても高評価を集める知事も。知事たちの一挙手一投足に、関心が高まっている。(渡部圭介、杉侑里香)

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 ■際立つ存在感

 知事名ごとに集計すると、投稿が最も多いのは大阪府の吉村氏に関するもので7041件。2位の東京都の小池百合子氏(1366件)を大きく上回った。3位は愛知県の大村秀章氏(710件)、4位は北海道の鈴木直道氏(398件)、5位は鳥取県の平井伸治氏(278件)だった。

 独自の解除基準「大阪モデル」など、分かりやすい対策を次々と打ち出す吉村氏。そうした姿勢や取り組みに触れたツイートから無作為に抽出した100件を、AIを使った文章判定プログラムなどを使って「好意的」「中立」「批判的」の3種に分類すると、好意的な投稿は67%、批判的は25%だった。

 好意的な投稿で目立つのは、吉村氏への共感や激励だ。記者会見やテレビ番組で文書に視線を落とさず、自分の言葉で語る姿に対する評価が高い。「安心感を抱く」といった意見や44歳という若さへの期待、ルックスに触れた投稿もある。

 一方、「パフォーマンス」という指摘や、テレビ出演が多いことへの批判も。注目は新型コロナウイルス対応に留まらず、国政を含む全般的な話題に及んでいた。

 ■「密です」ゲーム

 吉村氏と並びメディアの露出が多い小池氏も、「説明が分かりやすい」といった評価の声がある。「密です」発言を元に作られたゲームがSNS上で話題になったり、小池氏が記者会見で触れたことに親近感を抱く人もいた。

 ただ、ツイートを集めた期間中は、半数以上が批判的な投稿だった。調べると、要因の一つは小池氏が8日に明らかにした、ホテルで療養する軽症者や児童養護施設の子供へのけん玉配布だ。

 けん玉は東京玩具人形協同組合が、室内に留まる療養者のために寄贈。このニュースが報じられると、小池氏の発案で公金をけん玉購入に使ったと誤解したとみられる人たちからの批判的な投稿が続出した。

 大村氏へのツイートも、批判が半数に上った。医療従事者への応援金給付やマスク、防護服の確保といった取り組みは高い評価もある一方、県がホームページ(HP)に感染者の個人情報を誤掲載したことなどへの不信感が強く残っているようだ。

 ■自治体連携訴え

 一方、鳥取県の平井氏は9日夜の報道番組出演を機に、関連ツイートを伸ばした。早期に検査体制強化に取り組んだことや、無観客の文化イベントの動画配信への助成といった独自施策に「優秀」といった投稿が相次いだ。国の対応に不満をにじませつつ、ユーモアを失わない人柄に「有能さあってこそかわいさが引き立つ」という意見もあり、県外にも支持を広げた。

 関連ツイートは少ないが、高評価を集める知事もいる。和歌山県の仁坂吉伸氏のツイート数は50件に留まるが、国内で初めて病院でクラスターが発生した際の初動対応などに対し、大半が好意的な投稿だった。

 県のHPで8日に発表した「大阪が心配だ」と題したメッセージは、隣接する大阪府の対策の危うさに言及。ただ、自治体間の連携の大切さを訴え、府にエールを送る内容で「(心に)刺さる」というツイートもあった。

 ■「地方はもっと国と議論を」

 元三重県知事で早稲田大名誉教授の北川正恭(まさやす)氏は「実務を担う現場の責任者として、知事が自分の言葉で考えや決断を説明するのは地方主権にかなう」と、知事への関心の高まりを好意的にみる。その上で、「個々の知事による発信や知事会の結束をより強めて、国と対峙(たいじ)する必要がある」とした。

 新型コロナウイルス対応の特別措置法では、緊急事態宣言の発出や解除は首相、外出自粛要請の権限は知事と定められており、知事に与えられている実務権限は幅広い。北川氏は、緊急事態宣言の出口戦略をめぐって西村康稔経済再生担当相と吉村洋文大阪府知事が一時対立した例を挙げ、「地方にはそれぞれの事情があり、国の言いなりのままになってはいけない。補償問題など要望や意見については、地方はもっと国と積極的に議論していくべきだ」と話した。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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