高嶋将之、山口啓太
新型コロナウイルスワクチンを未接種の知人から依頼を受け、虚偽の接種記録を国のシステムに登録したなどとして、警視庁は「王子北口内科クリニック」(東京都北区)院長の船木威徳容疑者(51)を公電磁的記録不正作出・同供用と詐欺の疑いで逮捕し、12日発表した。接種に否定的だった知人に、接種済証を出す目的だったとみている。
捜査2課によると、船木容疑者は昨年12月、同クリニックを訪れた50代女性と10~20代の子ども2人の計3人について、ワクチン接種をしたとする虚偽の予診票(接種記録)を作成し、3人が住む札幌市を通じて国のワクチン接種記録システム(VRS)に登録した疑いがある。また、接種委託料計約1万4千円を同市からだまし取った疑いもある。容疑を認めているという。
船木容疑者と女性は数年前に投資セミナーで知り合い、ともにワクチン接種に否定的だった。女性は接種しないことで何らかの不利益が生じることを心配し、船木容疑者に未接種のまま接種済証を出すよう依頼したという。
捜査関係者によると、2人は虚偽の登録で得た接種済証を「なんちゃって証明」と呼んでいたという。
ワクチンは住民票を置く市区町村で接種を受けるのが原則だが、同クリニックでは昨年7月以降、13都道府県の計約230人に接種した記録があり、大半が区外の住民だった。同課はこの女性と同様に、接種せずに接種済証だけがほしい患者が含まれている可能性があるとみている。(高嶋将之、山口啓太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル