福岡県篠栗(ささぐり)町で5歳の男児を餓死させたとして、母親と知人の女が逮捕された事件で、女が一家の食事の制限を指示する一方で、母親だけには食事を与えていたことが捜査関係者への取材でわかった。福岡県警は女が、締め付けと懐柔を使い分けて母親を支配していったとみている。
母親は碇(いかり)利恵容疑者(39)、知人の女は赤堀恵美子容疑者(48)。2019年8月ごろから碇容疑者の三男翔士郎(しょうじろう)ちゃんに十分な食事を与えず、20年4月18日に餓死させたとして保護責任者遺棄致死容疑で県警に逮捕された。碇容疑者は容疑を認め、赤堀容疑者は否認しているという。
県警は、赤堀容疑者が「あなたの夫が浮気している」「ママ友があなたのことを『ばい菌』と言っている」などとうそで碇容疑者を孤立させる一方、架空の訴訟やトラブルをでっち上げては解決したように装うことで信頼させ、指示通り動くようマインドコントロールしていったとみている。
碇家の家計も握るようになった赤堀容疑者は、離婚した夫との裁判費用を捻出するためだとして、碇容疑者に一家の食事を切り詰めるよう指示。翔士郎ちゃんら子ども3人に十分な食事が与えられないなか、碇容疑者だけを自宅に招き、前日の夕食の残りを与え、「ちゃんと食べてる?」「一緒に頑張ろうね」と励ましてもいたという。
一方で、親族と連絡を取らない▽実家に帰らない▽他人から食べ物をもらわない▽家族全員で買い物に行かない▽勝手に外出しない▽子どもに触れたり笑いかけたりしない▽化粧や散髪をしないなどのルールを課し、破ると赤堀容疑者が「ボス」と呼び、暴力団とつながりがあるとする別の保護者が裁判所から罰金を科され、迷惑をかけるとうその話で脅したという。
福岡地検は勾留期限の23日までに両容疑者を保護責任者遺棄致死罪で起訴する見通し。(板倉大地)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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