知床のヒグマ、観光とどう共存 見物客近づき「人慣れ」

数字は語る

 世界自然遺産に7月26日、国際的にも希少な固有種が多い「奄美大島徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄)が登録されることが決まった。国内では1993年登録の屋久島(鹿児島)と白神山地(青森、秋田)、2005年の知床(北海道)、11年の小笠原諸島(東京)を含めて5件。「奄美・沖縄」は国内最西端になる。最南端は「小笠原」だ。

 最北端の「知床」。その登録を後押ししたのが、1977年から、今も名称を変えて続く「しれとこ100平方メートル運動」だ。知床の開拓跡地を乱開発から守るため、地元の斜里町が寄付を募った。97年までに約5万人から5億円以上が集まり、対象跡地の95%を取得。森づくりは今も続く。

 この地域にあるフレペの滝遊歩道周辺では、知床の自然保護や管理を担う知床財団が2014年から植生調査を実施。19年までに標本167点を採取し、以前の標本を含めて142種をリストに記録した。近年は1990年代のエゾシカの増加による食害で壊滅した植物の開花が確認されたという。調査担当の片山綾さん(40)は財団職員で唯一の地元出身。「知床は私たちの誇りです」と話す。

 知床ではヒグマと共存する観光へ模索が続く。知床五湖では10年、ヒグマ出没時も安全に歩ける高架木道が完成。11年からは地上遊歩道の利用者にヒグマ対策の講習受講を義務づける期間を設け、5月中旬~7月末のヒグマ活動期はガイドツアー限定とした。

■年35頭駆除、一方で「クマ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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