北海道・知床半島の先端部分で、それらが見つかったのはウニ漁の最中だった。青色のジーンズに、灰色のタンクトップ、黒色のポーチ。潜水していたベテラン漁師が、水深7メートルほどの海底で発見した。
5月18日のことだ。沈没した観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の乗客の遺留品とみられた。知床半島先端部付近で唯一の避難港である文吉湾近くだった。
ある地元漁協関係者は明かす。「潮だまりみたいなくぼみで見つかった。やぶけたりせず、きれいな状態だった」
その後、当日の服装から持ち主が乗客の男性とわかった。
だが、この男性はいまも見つかっていない。海上保安庁は、この遺留品を頼りに周辺を捜索したが発見には至らなかった。
知床沖の広大な海から、行方不明の乗客を捜す。事故の直後から、その手がかりとなってきたのが遺留品だ。そして、見つかるたびに、捜索に参加する人々は乗客に思いをはせた。
子ども用の救命具 「あれは予備用だ」
事故翌日の4月24日。地元漁師による捜索では、岩場で子ども用の救命具が見つかった。「KAZUⅠ」と書かれている。
その後、付近で捜索が続けら…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル