北海道の知床半島沖で乗客・乗員26人が乗った観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で、海上保安庁は3日、業務上過失致死容疑で運航会社「知床遊覧船」(斜里町)の関係先の家宅捜索を続けた。安全対策の不備が次々と指摘されるなか、社長を含めて刑事責任を問えるのか、押収した資料などをもとに捜査を進める方針だ。
海保などは3日も、行方がわからない12人の捜索を続けた。海底に沈む船についても、水中カメラを初めて船内に入れて撮影するなど、乗船者がいないかどうかの確認を急いでいる。
家宅捜索は2日に続けて行われ、同社の桂田精一社長(58)の関係先などの捜索にあたった。関係者によると、容疑の対象は豊田徳幸船長(54)と桂田社長で、2人は事故を予測できたのに対策を怠り、事故で乗客らを死亡させた疑いがもたれている。
捜査のポイントとなるのが、当日の出航の判断と、船長だけでなく社長の責任も問えるかどうかだ。
事故があった4月23日は強風注意報と波浪注意報が出され、午後には天候が悪化すると予想されていた。
航行中の責任は基本的に船長にあるが、当日朝、船長と社長は出航について打ち合わせし、荒天の可能性を認識しながら、「天候が荒れるようなら引き返す」という条件付きで社長自ら出航を決めたという。
しかし、どのような場合に引き返すかはあいまいなままだったうえ、事務所の無線のアンテナは壊れ、船に積む衛星電話も故障。航行中の定点連絡はされていなかったほか、原則として事務所で勤務する必要があった運航管理者である社長が不在だったことも、社長が乗船者の家族に配った資料から明らかになった。
こうした当時の対応が事故にどうつながったか、詳しい経緯や認識を確認するため、海保は社長への聴取も進める方針だ。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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