知床事故で犠牲、28歳男性の遺志継ぐ奨学金 20日まで希望者募る

滝口信之

 北海道斜里町知床半島沖で昨年4月、26人が乗った観光船が沈没した事故で亡くなった福島県会津若松市の青年がいた。小池駿介さん(当時28)。仕事に情熱を傾けた彼の遺志を引き継いでもらおうと奨学基金が設立された。返済義務のない奨学金制度で、20日まで希望者を募集している。

 小池さんは福島県内外でスーパー約70店舗を展開する「リオン・ドールコーポレーション」(同市)の社長の長男で、2019年から取締役を務め、21年からは栄川酒造(磐梯町)の取締役にも就いていた。

 小池さんは留学中に訪れたスコットランドでウイスキーに出会い、栄川酒造で新規事業としてウイスキー製造に情熱を注いでいた。そんな矢先、北海道に出張中、週末に時間ができたため訪れた知床で事故に遭った。

 その後、遺族やリオン社の取引先が中心となり、6月に基金が設立された。ウイスキー製造などに強い気持ちで取り組んだ遺志を次世代に引き継ぎたい、という思いからだ。「小池駿介奨学基金」と名付けられた。小池さんの遺産や、遺族や親族、リオン社員などの浄財をあてるという。

 会津若松市内の県立高校6校に通い、来年4月に国内の大学や専門学校に入学する生徒が対象。初年度は一時金100万円、卒業まで月額2万円を給付する。毎年10人程度を募り、今年の募集は20日まで。

 1日には県教育委員会の大沼博文・教育長がリオン社を訪れ、「多くの高校生がこの奨学金制度を活用して夢を実現できるよう育っていってほしい」と述べ、感謝した。リオン社の安西靖雄・副社長は「(小池さんの)遺志を受け継いで、微力ながらお役に立てるようにしたい」と話した。

 問い合わせは基金事務局(0242・26・2111)。(滝口信之)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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