大野正美、石垣明真
春の観光シーズンを迎えた知床半島から寄せられた突然の救助要請。23日午後1時過ぎ、「浸水している」との通報を残した観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の行方は日が暮れた後も分からないまま。船影が見えず、乗員・乗客26人の安否が気遣われる中、海上保安庁などの懸命の捜索が続いた。
不明になっている観光船「カズワン」は「知床遊覧船」(北海道斜里町ウトロ東)が運航。同社ウェブサイトによると、同船を含む観光船2隻があり、ウトロ漁港を出港し知床半島西部を巡る観光ツアーを行っていた。
運航会社の事務所はウトロ漁港近く、観光ホテルや民宿などがある区域にある。夜も海上保安庁の巡視船やヘリの捜索が続く中、事務所には明かりがともり、従業員とみられる人が何度も出入りしていた。
観光船のコースは知床半島西部を巡る3種類があり、最も長い知床岬まで行って折り返すコースが約3時間。午前10時と午後2時の出航で、「知床半島ウトロ側をくまなくお見せするコース」と紹介されていた。今回船から午後1時過ぎに「浸水している」と救助要請があった「カシュニの滝」もそのコース沿いにあった。
地元の観光業者らは安否を気遣った。
「ホテル知床」(斜里町ウトロ香川)の柳沢亨営業支配人(50)は「乗っているお客さんらが無事であって欲しい」と心配する。
ホテルは現在、冬季休業中だが、営業中は宿泊客の多くが、知床半島の自然を満喫するために観光船を利用しているという。現場海域とみられる「カシュニの滝」について、「川の水が海に流れ出る様子がきれいな人気の景勝地で、知床岬の先端まで行く際に紹介されるスポットだ」と話す。(大野正美、石垣明真)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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