石原慎太郎さん「死んだら虚無」の死生観 弔いを望む伸晃さんの提案

 ひとり死にゆく人たちの最期を追った連載「無縁遺骨」。今回は多くの家族に囲まれて亡くなった著名な人の最期から考える。

 石原慎太郎東京都知事一回忌の法要が3月5日、神奈川県逗子市の菩提(ぼだい)寺・海宝院で行われた。

 長男、石原伸晃さん(65)によると、膵臓(すいぞう)がんで余命3カ月宣告を受けた21年10月、慎太郎さんは二つのことを伸晃さんに頼んだ。

 一つは「骨は必ず海にかえしてほしい」。

 22年4月17日、葉山町の名島沖で散骨式が行われた。

 慎太郎さんが名誉会長を務め、縁が深い葉山のヨットクラブが主催し、伸晃さん、次男でタレントの良純さん(61)、三男で自民党衆院議員の宏高さん(58)、四男で画家の延啓(のぶひろ)氏らが出席した。

 グラインダーで粉骨した遺骨をオブラートに包み、ハマグリの貝殻に入れ、伸晃さんらは海に流した。30艇以上の船が海に出てクラブ仲間がその様子を見守った。

 二つ目は「がんの痛みだけは感じないようにしてほしい」。伸晃さんは知人のターミナルケア専門の医師に相談し、痛みを取る薬を慎太郎さんに処方してもらった。

 がん闘病中、慎太郎さんは病院より「自宅にいたい」と語った。慎太郎さんの妻の典子さんは当時、体調を崩していた。伸晃さんら兄弟4人でローテーションを組んでお正月、お盆など実家にもどり、父親と過ごした。

 告知後、死を受け入れた慎太郎さんは病床で原稿をつづりながら、「死ぬのはつまらない」「あとは頼むな」と繰り返し語った。

「俺の人生、どう思う?」 問われた伸晃さんは

 伸晃さんが自宅に一緒にいたとき、慎太郎さんが「俺の人生、どう思う」と唐突に尋ねたことがあった。

 伸晃さんが「すばらしかった…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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