文・杉村和将、写真・山谷勉
腕組みをして、じっと目を閉じている。写真に残るイメージより少し痩せているように見える。故郷の風景を見渡す丘の上に立ち、石川啄木は心に何を思い浮かべているのだろうか。
連なる山々に岩手山がひときわ大きくそびえる。眼下には市街地が広がり、北上川が蛇行してゆく。
山も川も、人々の営みも一望できる盛岡市の岩山公園。この標高340メートルの丘には、石川啄木の歌碑が並ぶ小道があり、等身大のブロンズ像が立つ。
ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな
歌の中の山は岩手山とも姫神山ともいわれる。両方を望む丘で啄木の胸に去来するのはどんな風景なのだろう。
「いいことも嫌なことも思い浮かべているような感じがいたします」
そう語るのは石川啄木記念館(盛岡市)元学芸員の山本玲子さん(65)。
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故郷の渋民村(現・盛岡市渋…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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