寺田実穂子
暖房器具による火災は毎年起きている。
昨年11月、神奈川県内の50代の男性が石油ストーブからの出火で重いやけどを負った。ストーブの底にたまったホコリに引火したことが原因だったとみられる。
製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2018~22年度の5年間で、石油ストーブの火災は187件あり、うち38件が死亡事故だった。また、同じく灯油を使い、暖かい空気を出す石油ファンヒーターは77件(うち死亡9件)だった。NITEは、「石油ストーブ・ファンヒーターの事故のうち、原因が判明したもののほとんどが誤使用・不注意によるものだった」としている。
例えば、給油口のふたの閉め方。しっかり閉めていなかったため、給油口を下にしてタンクをストーブに戻す時にふたが外れて火を消したばかりの高温の燃焼筒に灯油がかかり、発火したとみられる事故があった。
灯油でなく、ガソリンを間違えて給油してしまうことによる事故も起きている。ガソリンは蒸発しやすく、燃焼筒の熱でタンクが温められタンクの内圧が上昇し、外に押し出されたガソリンにストーブの火が引火して大きく燃え上がることがある。
灯油とガソリンは別々の場所で保管したり、ラベル表示をしたりして間違いを防ごう。また昨シーズンの灯油を持ち越して使うと異常燃焼や多くの一酸化炭素を発生させるおそれがあるため、必ず新しい灯油を使う。
給油後は、火のないところで給油口を下に向けてふたがきちんと閉まっているか確認してから、本体にセットしよう。
電気ストーブやこたつでも火災が発生している。NITEによると、5年間で電気ストーブの火災は130件(うち死亡14件)、こたつは26件(同3件)だった。電気ストーブの前に積み上げて倒れた衣類やこたつの中に押し込んだこたつ布団が、本体やヒーター部分に接触し、出火するおそれがある。NITEは、「火を使用していないため、可燃物を近づけることへの危機意識が薄れることが考えられる」としている。(寺田実穂子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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