77人が犠牲となった広島土砂災害から20日で6年となった。この日未明から、被災地は追悼の祈りに包まれた。今年8月には住民らが待ち望んでいた砂防・治山ダムが全て完成。「復興はまだ終わっていない」と受け止める住民もいる。
総事業費は約310億円
安佐北区大林地区で今月7日、最後の砂防ダムが完成し、17日に現地を報道陣に公開した。
大林地区の砂防ダムは、堰堤(えんてい)の高さ14メートル、堤頂の長さ66メートル。受け止められる土砂は約4万立方メートルで、25メートルプール約130杯分に相当し、国土交通省中国地方整備局が造った40基のなかで最大規模という。
土砂をせき止めるための砂防ダムを44カ所、谷に土砂をためて森林を維持し、土石流を起こりにくくする治山ダムを24カ所、斜面の崖崩れ対策の工事を31カ所で進めてきた。総事業費は約310億円にのぼった。県の山本悟司砂防課長は「住民の方にとっては早くはないかもしれないが、できる限り迅速に工事を進めることができた」と話す。
国と県、市は発災4カ月後の2014年12月に99カ所で砂防・治山ダムなどを整備する計画を策定。大林地区の砂防ダムができたことで、完成することになった。同整備局の国時正博副所長は「地元の方の協力なしには完成しなかった。6年までにたどり着けて安心している」と話した。
戻らない地域のにぎわい
砂防ダムは完成したが、地域のにぎわいは戻っていない――。近くに住んでいた兄夫婦を亡くした同市安佐南区八木3丁目の立川(たつがわ)新三さん(83)は「復興は遠い」と感じている。
発災翌日から土砂に襲われた町…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル