伊藤和行
教員免許に10年の期限を設け、講習を受けないと失効する「教員免許更新制」を廃止し、新たな研修制度を設けるとした中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の案について、現職の教員らが29日、教員の意見を文部科学省や各政党に届けた。廃止方針を歓迎しつつ、「新たな研修制度で管理を強めないでほしい」と訴えた。
中教審が9月にまとめた案は「新たな教師の学びの姿の実現に向けて」と題し、更新制を廃止し、都道府県教育委員会が行う研修の充実や研修履歴の記録管理の義務化などを盛り込んだ。
文科省は今月、パブリックコメントを募集。これに対し、6月に「#教師からのバトン」として教育現場の実態を文科省に訴えた東海地方の小中高校教員4人が29日、SNSなどで集めた全国の教員の意見を文科省や各政党に渡した後、記者会見した。
愛知県一宮市の小学校教諭、加藤豊裕さんは「更新制は確実に廃止して欲しい」と述べた上で、新たな研修制度の案が、教委や管理職が研修履歴を管理し、職務命令で研修を受けさせることもあるとしている点を懸念。「研修を押しつけるのではなく、学ぶ時間や余裕を下さい」と訴えた。寄せられた意見には「自腹での受講がないように」「勤務実態の改善が先だ」などの声もあった。
文科省はパブリックコメントをふまえた上で、来年の通常国会で、教育職員免許法など必要な法改正をする方針。早ければ2023年度から更新制を廃止し、新たな研修制度を始める。(伊藤和行)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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