新たな遺骨収集の可能性も
北海道出身者約700人を含む日本兵約2万2千人が戦死し、1万人超の遺骨が未収容となっている太平洋戦争の激戦地・硫黄島(東京都小笠原村)で、現在、自衛隊が使用する滑走路の下から未探索の壕(ごう)が見つかったことが、厚生労働省への取材で分かった。滑走路下での豪の発見は、本格調査が始まった2012年度以降2例目。最初の壕からは4柱が見つかっており、新たな遺骨収集につながる可能性がある。厚労省は21年度にも内部を探索する方針。
滑走路に縦穴 カメラで確認
未探索の壕が発見された場所は、島中心部にある滑走路(全長2650メートル)の下で12~13年度に見つかった壕の付近。18年度のボーリング調査で滑走路に縦穴を開け、カメラで確認された。壕は深さ約13メートルから地上に向けて斜めに伸び、長さは約20メートル。最初に見つかった壕とかつてはつながっていたが、崩落で分断されたとみられる。
壕内は地熱で高温のため、厚労省は探索作業に向け、20年度に温度を下げるための送風装置を設置するなど安全対策を検討する。滑走路の近くで発見され、探索済みの壕についても、行き止まりの先に滑走路下につながる壕がないかボーリング調査で確認する。
戦時中、日本軍は無数の壕を掘って米軍と戦い、滑走路の付近に大きな部隊を置いたため、滑走路下にも壕があったと推測されている。旧厚生省(現厚労省)は1952年から戦没者遺骨収集事業を行っているが、滑走路下は自衛隊機の発着を理由に長年、調査の対象外だった。しかし遺族らの要望を受け、12年度から本格調査を進めている。(酒井聡平)
北海道新聞社
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