少子高齢化の時代に合わせた「全世代型社会保障」のあり方を検討するための議論を、安倍政権が20日にスタートさせた。高齢者らの就労を促し、「支え手」を増やすことを重視する。一方、さらなる消費増税には距離を置き、国民の負担増や給付カットなど「痛み」を伴う改革には慎重さも。若い世代も安心できる、実効性ある全体像を示せるかは不透明だ。
首相官邸であった「全世代型社会保障検討会議」の終了時。議長の安倍晋三首相は強調した。「安倍政権にとって、全世代型社会保障への改革は最大のチャレンジ。社会保障システムの改善にとどまらず、システム自体の改革を進めていく」
政権が社会保障改革に動き出したのは、人口の多い「団塊の世代」が75歳以上になり始める2022年から、年金・医療・介護など社会保障給付費の増加が加速すると見込むからだ。
18年度は約121兆円(GDP比21・5%)だったが、団塊の世代が全員75歳以上になる25年度には約141兆円(同21・8%)、65歳以上人口がほぼピークの40年度には約190兆円(同24・0%)に膨らみ、財政圧迫の最大の要因となる。
検討会議の事務局は、会議の役割は「一段高い目線からの改革の基本方針」を決めることだと説明する。会議で全体の方向性を示し、厚生労働省や内閣府などの審議会には、検討会議や与党の議論をにらみながら具体的な改革案を検討してもらう。首相周辺は「官邸主導なら、今まで決められなかったことを決められる」と意気込む。年末までに中間報告、来年夏までに最終報告をまとめる。
ただ、強気の発言とは裏腹に、首相が初会合で掲げた検討項目は、70歳までの就労機会の確保や、年金の受給開始時期を70歳超も選べるようにすることなど。いずれも、すでに政府内で方向性が決まっている高齢者らの就労促進策だった。
複数の政府関係者によると、年…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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