京都の花街・祇園で受け継がれている京舞井上流は、主に座敷で舞われる座敷舞として洗練を重ねる一方、能や人形浄瑠璃の影響も受けながら200年以上にわたって独自の美を作り上げてきた。その21年ぶりとなる東京公演「京舞」が11月、国立劇場大劇場であった。祇園甲部の芸舞妓(げいまいこ)約60人が出演し、華やかに舞を披露した。
東京・三宅坂の国立劇場ロビーは、京都の花街が引っ越してきたかのようなにぎわいだった。会場入り口では出番のない舞妓らが来場者を迎え、なじみ客を連れた着物姿のお茶屋のおかみや京都を代表する企業トップらの姿が見られた。祇園以外の京都の花街の芸妓たちも鑑賞に訪れ、客席は華やいだ雰囲気に。東京での関心も高く、11月29、30の2日間、計3回の公演チケットは早々に完売した。
この時期、京都では紅葉が盛りを迎え、かいわいが歌舞伎発祥の地とされ、祇園にも近い南座では、師走恒例の「吉例顔見世(かおみせ)興行」が始まる。
「京都が一番ええ時期に3、4日ほど、祇園の人たちが留守をするのはなかなかありえへんこと。ですから余計にひとつひとつを大切にしたいなと思っています」
本番10日前。京都・春秋座で稽古の合間に取材に応じた五世家元で人間国宝の井上八千代さん(63)は、そう決意を語った。
井上流の起こりは江戸の寛政期…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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