野田一郎
北海道を代表する民謡「江差追分」の全国大会が15~17日、北海道南部の江差町であった。コロナ禍を経て4年ぶりに観客を入れて開催され、約300人の歌い手が日頃の鍛錬の成果を披露した。
江差追分は、江戸時代にニシン漁で栄えた江差町に、北前船によって今の長野県軽井沢町周辺で歌われていた追分節などが伝えられ、現在の形になったという説がある。「ソイ」というかけ声に合わせ、「かもめの鳴く音(ね)に ふとめをさまし あれがエゾ地の 山かいな」と悲哀を込めて歌う2分50秒ほどの歌だ。
17日は中学生までの部門に35人が出場した。優勝したのは札幌市立伏古小学校6年の内村月菜さん(12)。4歳から祖父の徳蔵さん(74)=北海道函館市=に習い、最近は録音した歌をスマートフォンに送って指導してもらう。
ふだんはKポップのBTSなどを聴き、学校では「(民謡を歌っていることは)恥ずかしくて言っていません」と話す内村さん。本番では「歌詞の風景を思い浮かべながら歌いました」。
一般の部には予選会を通過した50人が出場した。札幌市手稲区の安井静穂さん(36)は、小学生になる前に祖母の勧めで習い始め「息を切らずにこんなに長く歌えるんだ」と引き込まれた。結婚を機にいったんやめたが、長男が小学校に上がってから再開した。今では中学1年の長女が歌ってくれるのがうれしい。「歌い継げることがいいなと思っています」
一般の部では札幌市の山本恵美さん、70歳以上の熟年の部では北海道せたな町の道高勉さんが優勝した。
全国大会は今回で59回目で、最も古い歴史のある民謡大会といわれる。江差追分会には国内120支部とブラジル、サンフランシスコなど海外に5支部があり、約2千人の会員がいる。(野田一郎)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment